つがい

子供のころに・・・・・
という書き出しでも、それが10年前の人もいれば半世紀以上前の人もいるのは当たり前ですが・・・・・・

子供のころ、いろんな生き物を飼いました。

基本は「つがい」。繁殖するためのペアの数え方です。
オスとメスをペアで飼って、繁殖を目指すわけです。

鈴虫なんかは、改めて「つがい」という概念をもちこまなくても、あいつらが勝手に「りんりん」騒いで、適当に交尾して、適当に産卵するから、いいんです。
その容器を縁の下にでも放り込んでおくと翌年はまた、発生しました。

しかし、つがいで飼ったハト、カブトムシ、金魚、ハツカネズミ、カメ・・・・多くの「つがい」は、繁殖することなく、死んで行きました。

涼しげな瞳の少年 (ぼくのことです)は、涙を浮かべながら、ポーレットと一緒に土に穴をほり、小さな骸を埋葬し、その上に、寺から盗んできた阿修羅像をトッピングしたものです。

そういう遊びは禁じられていたのですが、ポーレットがぼくに、阿修羅像をもとめるのです・・・・・・・(幼少期の記憶ゆえ、多少違うかもしれません)

ミシェル(ぼくの幼名・・・・)とポーレットも、こんな罰当たりな遊びをするものですから、ふたりは、つがいになることはなく、別々の人生を歩んでおります・・・・・・(すみません、もうやめます、こんな田舎漫談・・・・)

閑話休題

私が十年ほど前に住んでいた埼玉県、狭山丘陵のふもとの町は、中高齢者夫婦の散歩が盛んです。
わざわざ電車にのって、わが町までやってきて、自動販売機もない田舎道をテクテク歩くのです。

この人たちをみて、急に「つがい」ということをかんがえたら、なんか、可笑しくなりました。

ときどき、ふと懐かしくおもいだすことがあるしつけ係のおばちゃんは、法的には、ぼくが死んだら、数兆円とも目算される埋蔵金を含む莫大な財産を合法的にうけとることになっていたんですが・・・・(八桁ほどさばを読んでます)
生物飼育学的には、「つがい」だったんですね。
わかってたのに、あらためてそう認識すると、なんか可笑しい。

娘が幼稚園児だったころ、たくさんの古切手を親戚からもらいまして、それを娘が花、動物、図形・・・・・と分類していたことを思い出します。

平成の天皇陛下のご成婚記念切手が、パンダのとなりに並んでいます。
「どうしてここなの?」と聞いたら、「ここは哺乳類なんだよ」 とのこと。

うんうん、確かに哺乳類が、つがいで、印刷されてるんだよな・・・・・幼児の目は曇りがないなあ・・・・と思いました。
ふと、そういうことを思い出しました。